Cyclical Maturation Lab

パンが、
パンを醸すパン。

焼成を経たパンだからこそ得られる変化を、次の仕込みへつなぎます。
この円環する「循環熟成™」というシステムで、
私たちは毎日のパンを焼いています。

Story

毎日食べるものだから、
身体になじむパンをつくりたい。

パンを好きなすべての人が、毎日の食卓を、ちゃんと心から楽しめますように。

私たちが目指しているのは、毎日食べても飽きのこない軽やかなパンです。

パンの骨格を支えるグルテンは、美味しさのもとであると同時に、生地が強く締まり、重たい食感につながることもあります。

そこで私たちは、あらかじめ焼き上げたパンを発酵種として仕込みへ還し、循環熟成™を重ねる中でグルテンの網目をしなやかに和らげていくシステムを構築しました。

生地の組織を優しくほぐし、軽やかな口溶けと心地よい食感を追求しています。

毎日変わらないおいしさを届けるために、発酵や熟成を考え、記録し、少しずつ製法を磨き続けています。

食べる直前に少し温めたり、軽くトーストしたりするのがおすすめです。熱を加えることで、小麦本来の香ばしさが立ち、もっちりとしたみずみずしい食感をより心地よくお楽しみいただけます。

素材の良さをまっすぐに引き出したパン達が、皆様の毎日の食卓に寄り添えれば幸いです。

Vocabulary

循環熟成™を語るための、
6つの言葉

それぞれの言葉は、体系の中で固有の位置を持っています。混同せず、まずは位置を知ることから。

The Loop

実践の巡り ― 10のステップ

焼き上げたパンを次の仕込みへ関わらせる、実際の循環です。

循環種GENERATION LOOP
  1. 焼き上げたパンを、発酵種の原料として活かす
  2. 独自の配合でつくった仕込み水に合わせ、常温で発酵させる
  3. 発酵状態を確認する
  4. 発酵したものを液体ごと微粉砕する
  5. 冷蔵庫内で発酵させ、乳酸菌優位に育てる
  6. 自家製ルヴァンリキッドの一部として用いる
  7. 決められた温度と時間で発酵させたのち、冷やして循環種として整える
  8. 循環種を各生地のフェルメントリーズに使用する
  9. 一次発酵・氷温帯熟成・二次発酵・焼成を行う
  10. 焼き上げたパンを、再び次の発酵種へ戻す
Structure

4つの階層

循環熟成™は、工程から観測へと4段の階層で構成されています。

LAYER 1

円環型発酵/還流/循環種

焼き上げたパンと次の仕込みを、履歴の接続によって結ぶ構造そのもの。

LAYER 2

フェルメントリーズ/構造緩和/氷温帯熟成

循環種を用いた仕込みが、実際に進行していく工程群。

LAYER 3

V型結晶構造形成/老化制御

生地内部で進む、結晶化と老化に関わる物理的な変化。

LAYER 4 ― 観測対象

しっとり感/口溶け/香気持続/仕上がりの均一感

工程でも品質保証でもなく、食べる場面・確認の場面で受け取られる観測対象です。

第4階層の語は、健康効果や保存性の保証を断定するものではありません。あくまで、食べる・確認するという場面で観測される対象として位置づけられています。

8 Core Processes

円環型発酵の中で扱う、
8つの主要プロセス

一本の作業手順ではなく、依存関係と実装上の位置を示すために固定された、本体系独自の呼称です。以下の項目名は、測定によって実証された機序を主張するものではありません。

  1. 01熱変性(糊化)組織の再分解と再水和
  2. 02内因性酵素の還流利用
  3. 03焼き上げたパンの代謝産物による初期発酵環境の自律的制御
  4. 04一方向の水和限界を補完する「結合水ネットワーク」の形成
  5. 05熱変性した「タンパク質骨格」の構造緩和
  6. 06アミロース・脂質複合体の還流形成による結晶化遅延
  7. 07氷温帯熟成による発酵速度の抑制と結合水の構造固定
  8. 08老化および香気成分散逸の制御

※これらは一本の反応列や実作業手順ではなく、体系上の固定項目として扱われています。番号は依存関係・実装上の位置を示すためのものであり、この順に進行すれば特定の効果が生じるという因果関係を主張するものではありません。個々の項目名は本体系が独自に用いる呼称であり、測定によって実証された機序や効果量を主張するものではありません。

付録 ― 研究者・開発者向け

JJ-01の思想を拡張した、
世代間接続のモデル

JJ-01 Protocolが扱う単一バッチ内の数理を土台に、世代をまたぐ接続(バッチ間)を後から拡張したモデルです。

継続する状態系における状態発展

その時点の操作・循環種・履歴を受けた、生地状態の変化。

履歴の更新

焼成後に測定される y_k が、次の状態へ引き継がれる履歴を更新する。

循環種の更新

還流対象 y_k が、継続する循環系の次の状態へつながる。

観測品質への写像

状態と履歴から、しっとり感・口溶けなどの観測品質を出力する。

記号役割
u_kその時点の温度、熱伝達、流動特性など、意図的に操作する値
s_kその時点の生地の水分活性、機能的硬度、成分濃度などの状態
c_kその時点の仕込みへ入る循環種の状態
h_kそれまでに積み重なり、引き継がれてきた履歴を保持する状態
y_k焼成後に還流へ回す対象について取得する状態
η_k観測品質の評価に用いる、還流・循環種・前世代の処理条件などの情報
qしっとり感・口溶け・軽やかな食感・香りの持続などの品質評価

F, G, C, P の具体式・パラメータは、実測データまたは明示的な指示がある場合にのみ定義される、実装・検証対象です。ここでは体系上の接続のみを示しています。

なお、s_k, c_k, h_k のような世代添字を用いた状態変数や、それらを結ぶ世代間の接続式は、書籍『JJ-01 Protocol』本体には含まれておらず、その思想を発展させる形で別途構築されたモデルです。

『JJ-01 Protocol』は、循環熟成の設計思想を制御理論の形式で記述した初期概念モデルです。書籍中の写像・平衡点・制御式および物理化学的機序は、実測データによる同定・検証を今後の対象としており、完成した科学モデル、工業規格または品質保証を意味するものではありません。