Cyclical Maturation Lab

パンが、
パンを醸すパン。

焼き上がったパンの履歴を、もう一度、次の生地へと還す。
円環のように巡る「循環熟成™」というシステムで、
私たちは毎日のパンを焼いています。

Story

毎日食べるものだから、
身体になじむパンをつくりたい。

毎日食べるものだから、
からだにそっとなじむような、そんなパンがいいですよね。

土の匂いを含んだ、いろんな穀物や麦の香りが好きな人が、毎日のテーブルを、ちゃんと心から愛せるように。

私たちがつくっているのは、特別な日のためのごちそうじゃないんです。明日も、その次の何でもない日も、ずっと飽きずに食べられる普通のパン。

そのために、ちょっと面白いことを思いつきました。一度こんがり焼いたパンを、今度は次のパンの仕込みに混ぜてみるんです。

焼いたからこそ生まれる、新しいつながり。私たちが探していた、ほっとするような食感や風味は、そこから生まれるんじゃないかって。そんな風にして始まったのが、「循環熟成」というやり方。

毎日、変わらない「おいしい」をだれかに届けるために。発酵の様子をノートに書き留めて、少しずつ、少しずつ、私たちの製法を磨いています。

食べる前に、すこしだけ火にかけて温めたり、軽くトーストしたりしてみてください。熱を加えると、穀物の香ばしさがふわっと部屋に広がって、もっちりした歯ごたえがもっと引き立ちますから。淹れたてのコーヒーにも、きっとよく合いますよ。

素材の良さをまっすぐに引き出したパンたちが、あなたの穏やかな時間に、そっと寄り添えますように。お気に召していただけたら、とっても嬉しいです。

Vocabulary

循環熟成™を語るための、
6つの言葉

それぞれの言葉は、体系の中で固有の位置を持っています。混同せず、まずは位置を知ることから。

The Loop

実践の巡り ― 10のステップ

完成したパンを一度きりの終点にせず、次世代の仕込みへ関わらせる、実際の循環です。

循環種GENERATION LOOP
  1. 焼き上がったパンの一部を、発酵水の原料として活かす
  2. 独自の配合でつくった仕込み水にパンを浸し、常温で発酵させる
  3. 発酵状態を確認する
  4. 発酵したものを液体ごと微粉砕する
  5. 冷蔵庫内で発酵させ乳酸菌優位に育てる
  6. 自家製ルヴァンリキッドの一部として用いる
  7. 決められた温度と時間で発酵させたのち、冷やして循環種として整える
  8. 循環種を各生地のフェルメントリーズに使用する
  9. 一次発酵・氷温帯熟成・二次発酵・焼成を行う
  10. 焼き上がったパンの一部を、再び発酵水へ戻す
Structure

4つの階層

循環熟成™は、工程から観測へと4段の階層で構成されています。

LAYER 1

円環型発酵/還流/循環種

前世代と次世代を、履歴の接続によって結ぶ構造そのもの。

LAYER 2

フェルメントリーズ/構造緩和/氷温帯熟成

循環種を用いた仕込みが、実際に進行していく工程群。

LAYER 3

V型結晶構造形成/老化制御

生地内部で進む、結晶化と老化に関わる物理的な変化。

LAYER 4 ― 観測対象

しっとり感/口溶け/香気持続/品質安定性

工程でも品質保証でもなく、食べる場面・確認の場面で受け取られる観測対象です。

第4階層の語は、健康効果や保存性の保証を断定するものではありません。あくまで、食べる・確認するという場面で観測される対象として位置づけられています。

8 Core Processes

円環型発酵の中で扱う、
8つの主要プロセス

一本の作業手順ではなく、依存関係と実装上の位置を示すために固定された、本体系独自の呼称です。以下の項目名は、測定によって実証された機序を主張するものではありません。

  1. 01熱変性(糊化)組織の再分解と再水和
  2. 02内因性酵素の還流利用
  3. 03前世代の代謝産物による初期発酵環境の自律的制御
  4. 04一方向の水和限界を補完する「結合水ネットワーク」の形成
  5. 05熱変性した「タンパク質骨格」の構造緩和
  6. 06アミロース・脂質複合体の還流形成による結晶化遅延
  7. 07氷温帯熟成による発酵速度の抑制と結合水の構造固定
  8. 08老化および香気成分散逸の制御

※これらは一本の反応列や実作業手順ではなく、体系上の固定項目として扱われています。番号は依存関係・実装上の位置を示すためのものであり、この順に進行すれば特定の効果が生じるという因果関係を主張するものではありません。個々の項目名は本体系が独自に用いる呼称であり、測定によって実証された機序や効果量を主張するものではありません。

付録 ― 研究者・開発者向け

JJ-01 の数理構造

世代 k の生地状態・循環種・履歴・観測品質を接続する、バッチ間の数理モデルです。

単一バッチ内の状態発展

その回の操作・循環種・履歴を受けた、生地状態の変化。

履歴の更新

焼成後に測定される y_k が、次世代へ残る履歴を更新する。

循環種の更新

還流対象 y_k が、次回の循環種状態へと変わる。

観測品質への写像

状態と履歴から、しっとり感・口溶けなどの観測品質を出力する。

記号役割
u_kその回の温度、熱伝達、流動特性など、意図的に操作する値
s_kその回の生地の水分活性、機能的硬度、成分濃度などの状態
c_k今回の仕込みへ入る循環種の現在状態
h_k前回までの履歴を保持する状態
y_k焼成後に還流へ回す対象について取得する状態
η還流・循環種・前世代の処理条件を含む履歴
qしっとり感・口溶け・軽やかな食感・香りの持続などの品質評価

F, G, C, P の具体式・パラメータは、実測データまたは明示的な指示がある場合にのみ定義される、実装・検証対象です。ここでは体系上の接続のみを示しています。

『JJ-01 Protocol』は、循環熟成の設計思想を制御理論の形式で記述した初期概念モデルです。書籍中の写像・平衡点・制御式および物理化学的機序は、実測データによる同定・検証を今後の対象としており、完成した科学モデル、工業規格または品質保証を意味するものではありません。